前回は百日咳感染症について少し書かせていただきました。今回は百日咳を予防するために、という内容で書きたいと思います。
予防のためにはワクチンによる予防が最も大切で効果的です。現在日本では、生後3か月から接種できる4種混合ワクチンが定期接種としてあり、百日咳ワクチンもそこに含まれています。接種回数としては、3-8週あけて3回接種し、その後標準的には3回目から12-18か月あけて4回目の追加接種を行うというものです。
現行の法律で、生後3か月から接種を開始しますと4回目の接種が1歳半ころに終了します。しかし前回書きましたように「就学前の百日咳抗体価が低下している」ことや「小学校入学後の罹患や成人の罹患も増加している」ことを鑑みますと、定期接種を完了しただけでは不十分ということも考えられます。
また現行の法律では生後3か月から接種が始まるわけですが、この感染力の強い百日咳菌は生後1-2か月のお子さんにも感染し、重症化するということが実際にあるわけです。
ベビーへの感染を防ぐにはどうしたら良いでしょうか。いま日本小児科学会から推奨されている方法は、通常の定期接種を終えたのちに、①任意接種とはなりますが就学前に接種(3種混合ワクチン)を行うこと、②11-13歳で定期接種で行われる2種混合ワクチン(百日咳は含まれない)の際に、(任意接種となりますが)3種混合ワクチンを接種するというものです。
また、妊婦さん(米国では27~36週といった中期から後期が推奨)への接種が有効であるとして推奨されている国もあります。もちろんお父さんの接種も有効で重要といえます。
百日咳に限りませんが、ワクチンで予防できる疾患はワクチンで予防する、ということを家族全体・地域全体で進めていくことが大切だと思います。