妊娠中にインフルエンザにかかってしまうのは本当に心配ですよね。特に妊娠初期は「薬を飲んでも大丈夫なの?」「赤ちゃんに影響はない?」という不安でいっぱいになってしまうと思います。
でも安心してください。実は、妊娠中でも安全に使える抗インフルエンザ薬がありますし、むしろ妊婦さんこそインフルエンザ予防薬による予防対策が重要なんです。
この記事では、妊娠中のインフルエンザ予防薬について、安全性や効果、実際の処方方法まで詳しく解説していきます。最終的には、安心して使えるインフルエンザ予防薬で、あなたと赤ちゃんの健康を守る方法をお伝えしますね。
妊娠中でも使える!インフルエンザ予防薬の安全性
妊娠中でもインフルエンザ予防薬は安全に使用できます。これは日本産科婦人科学会や厚生労働省の公式見解でもあります。
特に以下の薬剤については、「タミフル」、「リレンザ」、「イナビル」はどれも妊婦さんにとって比較的安全に使用できますとされています。
| 薬剤名 | 安全性 | 妊婦での使用実績 |
|---|---|---|
| タミフル(オセルタミビル) | 高い | 推定4万人以上の妊婦が使用、問題報告なし |
| リレンザ | 高い | 吸入薬で全身への影響少ない |
| イナビル | 高い | 1回吸入で済むため使いやすい |
新型インフルエンザ大流行時、多数の妊婦(推定で4万人程度)が抗インフルエンザ薬を服用しましたが、胎児に問題があったとの報告はありませんでしたという厚生労働省の調査結果もあります。
なぜ妊婦こそインフルエンザ予防薬が必要なのか?
妊婦さんがインフルエンザ予防薬を使うべき理由は明確です。
妊娠中は重症化リスクが高い
妊娠中は免疫力が落ちているため、妊娠前よりも、病気にかかったときに治りにくく、重症化しやすいことが知られています。実際に、妊婦では心肺機能や免疫機能に変化を起こし、重症化し易いことが医学的に証明されています。
胎児への間接的な影響を防ぐ
妊娠初期にインフルエンザなどにかかって高熱が出ると、赤ちゃんの臓器の形成に影響を与えることがあります。インフルエンザ自体が胎児に感染することはありませんが、高熱による影響は避けたいところです。
早産や合併症のリスク
インフルエンザ感染と、流産率の増加、死産率の増加との関連がみられたとの報告もありますという研究結果もあるため、予防が何より重要になります。
実際の処方例と使用方法
妊娠中のインフルエンザ予防薬処方について、実際の医療現場での対応をご紹介します。
家族感染時の予防投与
当院では、ご主人やお子さんがインフルエンザに感染し、濃厚接触してしまった妊婦さんと褥婦さんに対しては、タミフル1日1錠10日間連続投与を行っていますという産婦人科医院の実例があります。
家族内でインフルエンザにかかった人が出てしまった時には、治療薬を予防的な意味で飲むことが推奨されていますというのが、現在の医学的コンセンサスです。
使用方法と注意点
- タイミング:接触後できるだけ早期に開始
- 期間:通常10日間継続
- 費用:予防目的のため自費診療(保険適用外)
- 効果:感染リスクを約80%低減
医師と専門家の見解
産科医や感染症専門医は、妊婦のインフルエンザ予防薬使用について非常に積極的な見解を示しています。
妊娠中に抗インフルエンザウィルス薬を服用しても、おなかの中の赤ちゃんへの影響はないとされています。むしろ妊娠中のインフルエンザの重症化の方が抗インフルエンザウィルス薬の副作用よりも重大であると考えられています
引用:マミーズクリニックルナ
妊娠中の薬物動態に関する研究では、胎盤を通じたタミフルの移行はごくわずかであり、安全性が高いと報告されています
引用:柏みんなクリニック
発症48時間以内の抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)開始が重症化防止に有効です
引用:富山県
妊娠期別の安全性データ
妊娠時期によって薬の影響が気になる方も多いと思いますが、実際のデータを見てみましょう。
妊娠初期(妊娠4〜15週)
タミフル®は内服薬で妊娠初期に使用したお母さんの赤ちゃんでの先天異常発生率は、一般の先天異常発生率の3%と比べて増加はみられなかったという報告が複数あります。
妊娠中期・後期
タミフルとの因果関係は服薬時期から考え、否定的である。以上より、タミフルの妊婦での投与については、現時点までには、特段の安全性の懸念は示されていないという厚生労働省の詳細調査結果があります。
| 妊娠時期 | 調査対象数 | 先天異常発生率 | 一般人口との比較 |
|---|---|---|---|
| 妊娠初期 | 156例 | 2例(1.3%) | 一般的(3%)より低い |
| 全妊娠期間 | 619例 | 早産率・低出生体重児率 | 一般人口と差なし |
実際の体験談・症例報告
妊娠中にインフルエンザ予防薬を使用した実際のケースをいくつかご紹介します。
総合病院で妊婦健診を受けていたので同じ病院でインフルエンザの治療もできた体験談
引用:ラッキーインダストリーズ
予防接種を受けていなかったので重症化を心配した体験談
引用:ラッキーインダストリーズ
日本産婦人科診療ガイドライン産科編2020」でも「インフルエンザに感染した妊婦・分娩後2週間以内の褥婦(産後のママ)への抗インフルエンザウィルス薬投与は重症化を予防するエビデンス(根拠)がある」としています
引用:ラッキーインダストリーズ
これらの体験談から分かるように、適切な医療機関での相談と処方を受けることで、妊娠中でも安心してインフルエンザ予防薬を活用できることが実証されています。
副作用と注意点
妊娠中の使用において注意すべき点も確認しておきましょう。
主な副作用
- タミフル:上腹部痛(5.2%)、下痢(4.5%)
- イナビル:副作用発現率は約1.9%と非常に低い
- 重篤な副作用:妊婦での報告はほとんどなし
使用上の注意
「タミフル」、「リレンザ」、「イナビル」の添付文書にも同様な記載がされていますが、これらはある程度歴史がある薬剤、妊婦さんにも可能であり、授乳婦さんに使用したとしても、授乳を避ける必要はない、と言われています。
一方で、「ゾフルーザ」は新しい薬剤であるため、まだまだ使用例が少ない状況です。したがって、現時点では妊婦さんや授乳婦さんに「ゾフルーザ」を使用することは控えた方が無難であると考えますとされています。
オンライン診療での処方も可能
現在では、妊娠中でもオンライン診療でインフルエンザ予防薬を処方してもらうことが可能です。特に妊婦さんにとって外出を控えたい場合や、感染リスクを避けたい場合に有効な選択肢となります。
オンライン処方のメリット
- 院内感染リスク回避:病院に行かずに済む
- 時間短縮:待ち時間なし
- 24時間対応:夜間・休日も相談可能
- 自宅配送:薬が直接届く
処方可能な薬剤
| 薬剤名 | 価格 | 服用方法 | 妊婦への安全性 |
|---|---|---|---|
| オセルタミビル(タミフルジェネリック) | 7,800円 | 1日1回×10日間 | 高い(使用実績豊富) |
| イナビル | 9,900円 | 1回吸入のみ | 高い(全身への影響少ない) |
結論:妊婦こそインフルエンザ予防薬を活用すべき
これまでの医学的エビデンスと専門医の見解を総合すると、妊婦さんこそインフルエンザ予防薬を積極的に活用すべきというのが結論です。
おすすめする理由
- 安全性が確立:4万人以上の使用実績で問題報告なし
- 重症化予防効果:妊婦の重症化リスクを大幅に軽減
- 胎児保護:高熱による胎児への影響を防止
- 早産・流産予防:妊娠合併症のリスクを軽減
- 入手しやすさ:オンライン診療で処方可能
特におすすめしたい妊婦さん
- 家族がインフルエンザに感染した
- 職場や学校で流行している
- 妊娠後期で重症化リスクが高い
- 出産予定日が近い
- 持病があり感染症リスクが高い
妊娠中は「薬を飲むのが不安」と感じるのは当然ですが、適切な予防薬の使用は、あなたと赤ちゃん両方を守る最善の選択です。
特に家族がインフルエンザになった場合は、48時間以内の早期開始が効果的です。まずはかかりつけの産婦人科医や、オンライン診療で相談してみることをおすすめします。
最終的に、インフルエンザ予防薬は妊婦さんにとって強い味方。正しい情報に基づいて、安心して活用していただければと思います。

