中学受験を控えているお子様の体調管理に日々気を使われている親御様にとって、「受験日にインフルエンザになったらどうしよう」という不安は尽きないものです。
これまで頑張ってきた努力が水の泡になってしまうかもしれない、そんな心配でぐっすり眠れない夜もあるかもしれません。
しかし、安心してください。
この記事では、中学受験の日にインフルエンザになった場合の具体的な対処法と、事前にできる最善の予防策について詳しくお伝えします。
最後には、ワクチンだけでは不安な方のための「インフルエンザ予防薬」についても解説しますので、ぜひ最後まで読んでいただき、お子様の受験を万全の状態で迎えていただければと思います。
中学受験の日にインフルエンザになっても「諦める必要はない」
私立中学校では、インフルエンザで振り替え受験させてもらえる学校は少ないですね。という現実がある一方で、完全に諦める必要はありません。中学受験の場合、以下のような対応が取られるケースがあります。
私立中学校の対応状況
私立中学校の場合、学校によって対応が大きく異なります:
対応方法内容実施校の状況追試験別日程で同等の試験を実施一部の学校で導入開始別室受験当日、感染防止対策を講じた別室で受験実施校は限定的複数日程受験他の受験日程での再出願複数回入試を実施する学校受験料返金診断書提出により受験料を返金一部の学校で実施
振り替え受験をできる私立中学校が現れてニュースになったくらいです。このように、徐々に救済措置を講じる学校が増えているのが現状です。
国立・公立中高一貫校の対応
国立や公立中高一貫校の場合、都道府県や学校によって対応方針が決まっています。岐阜県では令和2年度より、インフルエンザなどに罹患して検査当日にやむを得ない理由で欠席した受検生を対象に、希望者に対して追検査を実施することになりました。
インフルエンザになった場合の正しい対処手順
1. まず医療機関を受診する
発症後48時間以内であれば、抗インフルエンザ薬によってウィルスの増殖を抑えることができ、熱も下がるといわれています。早期受診が重要な理由は以下の通りです:
– 検査の正確性: 発症から半日から1日ほど待って受診するとよいでしょう。
– 薬の効果: 発症後48時間以内に抗インフルエンザ薬を服用することで、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する効果が期待できるといわれています。
– 診断書の取得: 追試や別室受験の申請に必要な医師の診断書を取得できます
2. 学校への連絡
インフルエンザにかかってしまったと学校に伝えると、適切な指示をもらえますので、まずは学校に連絡をしましょう。連絡時に確認すべき事項:
– 志望校の対応方針(追試、別室受験の可否)
– 必要な書類(診断書等)
– 連絡先や手続き方法
– 受験当日の対応
3. 志望校への連絡・相談
できれば入試当日ではなくて、「入試の日に行けないかもしれない」と分かった時点で連絡をするのが良いですね。早期の連絡により、以下のメリットがあります:
– 学校側も対応の準備ができる
– 必要書類の準備時間が確保できる
– 他の受験生への感染防止対策を講じられる
受験当日にインフルエンザが判明した場合の緊急対応
当日の判断基準
受験当日にインフルエンザと診断された場合、以下の点を総合的に判断する必要があります:
症状の程度推奨される対応注意事項軽症(微熱程度)別室受験を検討学校の対応方針による中等症(38度以上の発熱)追試を優先検討実力発揮困難の可能性重症(高熱・強い倦怠感)受験は見送り健康面を最優先
別室受験の場合
インフルエンザの生徒のみ、別室受験となります。別室受験が可能な場合の流れ:
1. 事前連絡: 中学校を通じて受験校に連絡
2. 診断書準備: 医師の診断書を用意
3. 会場での申告: 必ず、受験会場の受付にもインフルエンザと伝えましょう。
4. 別室での受験: 感染防止対策が講じられた別室で受験
インフルエンザ感染時の出席停止期間と受験への影響
学校保健安全法による規定
インフルエンザに感染していた場合、学校保健安全法により、発症後5日、解熱後2日は出席ができなくなる「出席停止期間」が発生します。
具体的な出席停止期間:
– 発症後5日間経過:発症日を0日とし、翌日から5日間
– 解熱後2日間経過:解熱日を0日とし、翌日から2日間
– 両方の条件を満たすまで出席停止
受験に与える影響
高校入試日にインフルエンザになった場合は出席停止は関係ない。ただし、実際の対応は以下のようになります:
– 私立中学: 学校独自の判断
– 国立・公立: 文部科学省の指針に準拠
– 感染拡大防止: 他の受験生への配慮が必要
具体的な体験談・事例から学ぶ対処法
SNSでの実際の声
多くの受験生や保護者がSNSで体験談を投稿しています:
> 「受験2日前にインフルエンザ確定。でも志望校に連絡したら別室受験できることに!諦めずに済んだ」
引用:Twitter投稿より
> 「中学受験でインフル発症。追試はなかったけど、第2回入試で再チャレンジできた。最初から複数回受験を想定すべきだった」
引用:受験情報サイトの口コミより
成功事例の共通点
実際にインフルエンザになっても合格を掴んだ受験生の共通点:
1. 早期の学校連絡: 症状が出た時点で即座に連絡
2. 複数校受験: リスク分散のため複数の学校を受験
3. 医師との連携: 適切な治療と診断書の取得
4. 家族の支援: 冷静な判断と迅速な対応
インフルエンザ予防の徹底的な対策
基本的な予防策
インフルエンザ対策の基本は、ウイルスを体内に入れないことです。具体的な対策:
- 手洗い・うがい: 外出後は必ず実施
- マスク着用: 受験生だからこそ、用心にこしたことはありません。受験の時期は家の中でマスクをつけて過ごすことも、インフルエンザの予防対策となります。
- 適度な湿度維持: 室内湿度50-60%を維持
- 十分な睡眠: 免疫力向上のため
- 栄養バランス: 体調管理の基本
ワクチン接種
インフルエンザのワクチンは接種後2〜3週間で効果が現れ始め、約5カ月間持続します。受験生の場合:
– 接種時期: 10月〜11月が最適
– 効果: 感染予防と症状軽減
– 限界: 100%の予防は不可能
より確実な予防法:インフルエンザ予防薬という選択肢
ワクチン接種だけでは不安な方や、受験直前期により確実な予防をしたい方には、インフルエンザ予防薬という選択肢があります。
オンライン診療で処方可能
最近では、オンライン診療により自宅にいながらインフルエンザ予防薬を処方してもらえるサービスが充実しています:
薬剤名服用方法効果持続価格目安オセルタミビル(タミフルジェネリック)1日1回×10日間服用期間中7,800円〜イナビル1回吸入のみ最長10日間9,900円〜
予防薬の効果
予防投与の効果は、オセルタミビル(タミフル®)で70-90%、ザナミビル(リレンザ®)で70-80%であった。日本国内からの報告では90%を越える発症予防効果が報告されています。
受験生への特別な配慮
受験生のインフルエンザ感染を予防するため、当院ではワクチンとタミフル予防内服の併用をお勧めします。対象者は今年度に中学、高校、大学を受験予定の方です。
医療機関によっては、受験生を対象とした特別な予防プログラムを提供しているところもあります。
家族全体での感染防止対策
家族が感染した場合の対応
家族内でインフルエンザになった人がいる場合は、いかに受験生に感染させないかが重要になってきます。具体的な対策:
- 隔離: 可能なら1週間程度は別部屋で過ごす
- 距離の確保: 部屋がなければ2m以上を離れて暮らし、食事時間などは受験生と別々にし、入浴も一番後にしましょう。
- マスク着用: 家族全員がマスクを着用
- 手指消毒: こまめな手指消毒の徹底
予防的措置の検討
家族が感染した場合、受験生への予防薬投与も検討できます。インフルエンザ陽性の方と過ごし、濃厚接触になった場合は48時間以内の内服が望ましいです。
受験直前期の生活習慣見直し
塾での感染リスク対策
受験直前に「塾」という子供が多く集まる場所=インフルエンザに感染するリスクの高い場所に行くこと自体かなりハイリスクな行動です。
受験直前期の塾通いについて:
– 換気の確認: 密室状態になっていないか確認
– マスク着用: 塾内でも必ずマスク着用
– オンライン授業: 可能であればオンライン受講に切り替え
– 短時間滞在: 長時間の滞在を避ける
栄養と睡眠の管理
インフルエンザなどの病気は、ストレスが溜まっていてリラックスできていない時に感染することが多いそうです。睡眠や食事が疎かになりがちです。家族の方が食事管理などの役割をできれば、お子さまが健康に過ごせるように意識してあげましょう。
心構え:「人生は七転び八起き」
最後に、万が一インフルエンザになってしまった場合の心構えについてお伝えします。
受験は、人生を左右しますので、万全の体調で臨みたいものです。しかし、人生は七転び八起です。小学校受験した日に発熱し、なんとか補欠合格したけれど結局入学できず、公立小学校へ。そこから私立中高校を経て、今は国公立の医学部に入学し、医師になった子もいます。
このように、一つの受験でつまずいても、その後の努力次第で素晴らしい未来を築くことができます。大切なのは:
1. 現在できる最善を尽くす
2. 結果に一喜一憂しない
3. 長期的な視点を持つ
4. 健康を最優先にする
まとめ:万全の準備で中学受験に臨もう
中学受験の日にインフルエンザになってしまった場合でも、適切な対処法を知っていれば乗り越えることができます。
重要なポイントをまとめると:
- 早期受診と学校連絡: 症状が出たら即座に行動
- 学校の対応確認: 追試や別室受験の可否を確認
- 複数校受験: リスク分散のため
- 基本的な予防策: 手洗い、マスク、適切な湿度維持
- ワクチン接種: 10月〜11月に接種
- 予防薬の検討: より確実な予防が必要な場合
特に、受験直前期においては、従来の予防策に加えて「インフルエンザ予防薬」の服用も有効な選択肢です。オンライン診療で手軽に処方してもらえる現在、より確実な予防策として多くの受験生家庭が活用しています。
大切なお子様の受験が成功するよう、できる限りの準備をして臨んでいただければと思います。万が一の事態が起こっても、適切な対応で乗り切ることができるはずです。お子様の努力が実を結ぶよう、心より応援しています。
