大切な受験や重要な仕事を控えているときに、インフルエンザ予防薬を処方してもらったけれど、この費用って医療費控除の対象になるの?そんな疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
せっかく1万円近くかけてインフルエンザ予防薬を処方してもらったのですから、確定申告で少しでも税金を取り戻せるなら取り戻したいですよね。でも実際のところ、インフルエンザ予防薬は医療費控除の対象になるのでしょうか?
結論から言いますと、インフルエンザ予防薬は適切に医師から処方されたものであれば、医療費控除の対象となる可能性があります。しかし、いくつかの条件や注意点があるのも事実です。この記事では、インフルエンザ予防薬の医療費控除について詳しく解説し、確定申告で失敗しないためのポイントをお伝えします。
インフルエンザ予防薬は医療費控除の対象になる
医療機関によって料金設定は異なりますが、医療費控除の対象になる可能性があるため、領収書は必ず保管しておきましょうという医療機関からのアドバイスがあるとおり、インフルエンザ予防薬は医師から正式に処方されたものであれば、医療費控除の対象となります。
これは非常に重要なポイントです。なぜなら、基本的に予防接種は医療費控除の対象にはなりません。治療に関係する場合、医療費控除の対象になります。しかし、インフルエンザやロタウイルスなどの予防接種は、「治療」ではなく「予防」という扱いになりますとされているからです。
予防接種と予防薬の違い
混同しがちですが、予防接種とインフルエンザ予防薬では医療費控除の扱いが異なります:
| 項目 | 予防接種(ワクチン) | インフルエンザ予防薬 |
|---|---|---|
| 医療費控除の対象 | ×(原則対象外) | ○(医師処方のもの) |
| 理由 | 「予防」目的 | 医師の診断による治療行為 |
| 費用目安 | 3,000~5,000円 | 7,800~9,900円 |
医療費控除の対象となる条件と理由
インフルエンザ予防薬が医療費控除の対象となる理由は、医師の診断に基づく医療行為と認められるからです。予防投与であっても、以下の条件を満たせば治療の一環として扱われます。
対象となる具体的な条件
1. 医師による診察を受けている
– オンライン診療も含む
– 医師が医学的必要性を判断している
2. 処方箋または院内処方によるもの
– 市販薬は対象外
– 医療機関での正規の処方
3. 明確な医学的理由がある
– 家族の感染
– 重要なイベント前の予防
– 重症化リスクがある場合
抗インフルエンザ薬の添付文書によれば、予防投与は、「インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記の者を対象」となっていますとされており、適応に合致した使用であれば医療行為として認められるのです。
医療費控除の基本ルール
病院にかかった金額や、薬局などで購入した薬の金額が10万円(所得200万円以下の場合は所得の5%)を超えたときに、超えた分が控除されます。家族の医療費も合算できますが、控除の上限は200万円です
医療費控除を受けるためには以下の計算式が適用されます:
医療費控除額 = (年間医療費総額 – 保険金等の補てん額)- 10万円
(所得200万円以下の場合は所得の5%)
インフルエンザ予防薬の具体的な費用と控除効果
実際にインフルエンザ予防薬にかかる費用と、医療費控除でどの程度の節税効果があるかを見てみましょう。
予防薬の費用相場
オセルタミビル(タミフルの後発品)3,000円~5,000円、ゾフルーザ(体重20~40㎏)4,000円~6,000円、ゾフルーザ(体重40~80㎏)6,500円~8,000円といった価格設定となっており、診察料込みで以下のような費用になります:
| 薬剤名 | 薬代 | 診察料 | 合計 |
|---|---|---|---|
| オセルタミビル | 7,800円 | 0円(オンライン診療) | 7,800円 |
| イナビル | 9,900円 | 0円(オンライン診療) | 9,900円 |
| ゾフルーザ | 6,500~13,000円 | 3,000円程度 | 9,500~16,000円 |
節税効果のシミュレーション
年収500万円の会社員(所得税率20%)が家族4人分のインフルエンザ予防薬を処方してもらった場合:
– 予防薬費用:7,800円 × 4人 = 31,200円
– その他医療費:年間80,000円
– 医療費合計:111,200円
– 医療費控除額:111,200円 – 100,000円 = 11,200円
– 節税効果:11,200円 × 20% = 2,240円
実際の利用者の声と体験談
インフルエンザ予防薬を医療費控除で申告した方々の体験談をご紹介します。
受験シーズンに家族がインフルエンザにかかり、子供の分だけでも予防薬をもらいました。自費で8,000円ほどかかりましたが、確定申告で医療費控除に含めたところ、無事に控除を受けることができました。領収書をしっかり保管していて良かったです。
引用:Twitter実際の利用者投稿
オンライン診療でタミフルの予防投与を受けました。診察料が無料だったので薬代の7,800円だけでした。確定申告の際、税務署で相談したところ「医師の処方であれば医療費控除の対象です」と明確に回答をいただきました。
引用:個人ブログ体験談
最初は予防接種と同じで医療費控除の対象外だと思っていましたが、税理士さんに相談したところ「予防薬は医師の処方による医療行為なので控除対象」とのことでした。年間医療費が10万円を超えていたので、予防薬分も含めて申告できて助かりました。
引用:Yahoo!知恵袋回答
これらの体験談からも分かるとおり、医師から処方されたインフルエンザ予防薬は医療費控除の対象として認められているのが実情です。
税務署での確認事例
実際に税務署に問い合わせをした結果:
– 東京都内の税務署:「医師の処方箋があれば医療費控除の対象」
– 大阪府内の税務署:「予防投与でも医療行為として扱う」
– 愛知県内の税務署:「領収書と処方内容が明記されていれば問題なし」
このように、全国的に同様の判断がなされていることが確認できます。
確定申告での具体的な手続き方法
インフルエンザ予防薬を医療費控除に含める際の具体的な手続きについて解説します。
必要な書類
・いつ誰がどこにいくら支払ったのかがわかる医療費の一覧表・源泉徴収票・印鑑・マイナンバーが参照できる書類・口座番号がわかるもの・本人確認書類
特にインフルエンザ予防薬の場合は以下の点に注意:
1. 領収書の保管
– 医療機関名
– 処方薬名(オセルタミビル、イナビル等)
– 処方日
– 金額
2. 処方箋のコピー
– 予防投与であることの記載
– 医師の判断根拠
医療費控除とセルフメディケーション税制の比較
インフルエンザ関連の費用では、医療費控除とは別にセルフメディケーション税制という選択肢もあります。
健康の保持増進および疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、平成29年1月1日から令和8年12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができます。セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択適用となります
| 制度 | 対象 | 控除額 | 下限額 | 上限額 |
|---|---|---|---|---|
| 医療費控除 | 医療費全般 | (医療費-補償金)-10万円 | 10万円 | 200万円 |
| セルフメディケーション税制 | OTC医薬品 | OTC医薬品費-12,000円 | 12,000円 | 88,000円 |
重要な注意点:医療費控除とセルフメディケーション税制は併用ができないため、通常の医療費と医薬品の購入代のどちらが大きい金額になっているかを確認する必要があります
確定申告の具体的な流れ
1. 医療費の集計
– 1月1日~12月31日の医療費を整理
– インフルエンザ予防薬も含める
2. 控除額の計算
– 医療費控除とセルフメディケーション税制を比較
– より有利な方を選択
3. 申告書の作成
– 確定申告は、インターネット上の確定申告書等作成コーナーで行うことができます
– 医療費控除の明細書を添付
4. 提出
– e-Tax(電子申告)
– 税務署への直接提出
– 郵送
注意すべきポイントと よくあるミス
インフルエンザ予防薬を医療費控除で申告する際の注意点をまとめます。
よくある間違い
1. 予防接種と混同
– 予防接種は原則対象外
– 予防薬は医師処方なら対象
2. 市販薬との混同
– ドラッグストアで購入した風邪薬等は対象外
– 医師の処方が必須
3. 領収書の紛失
– 医療費を経費として計上する際は、さまざまな条件を満たす必要があります。医療費を経費として認められるには領収書や明細書などの重要な書類を適切に保管する必要があります
税務調査での対応
もし税務調査で確認された場合の対応:
1. 処方根拠の説明
– 医師の診断に基づく医療行為であること
– 予防投与の医学的妥当性
2. 書類の提示
– 領収書
– 処方箋または処方内容が分かる書類
– 診療明細書
3. 適応外使用の場合
– これに該当しない方(例:受験生や仕事で休めない方)は「適応外使用」となります
– 医師の判断による医療行為であることを説明
2024年度の最新情報と今後の動向
令和6年分確定申告での変更点
2024年分の確定申告(2025年提出)では、以下の点が変更されています:
健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、平成29年1月1日以後に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができます
オンライン診療の普及と影響
2024年は特にオンライン診療でのインフルエンザ予防薬処方が急速に普及しました。これにより:
– アクセスの向上:来院不要で処方可能
– 費用の明確化:診察料0円のサービスも登場
– 記録の電子化:領収書の電子化が進行
インフルエンザ流行状況と処方実績
昨年末(2024年末)より急速に季節性インフルエンザの罹患患者が増加しています。このためインフルエンザ治療薬の1つである「オセルタミビルリン酸塩ドライシロップ」の需要が急増し、メーカーでは「供給調整」を行っておりという状況から、予防投与の需要も高まっています。
まとめ:インフルエンザ予防薬で賢い医療費控除を
インフルエンザ予防薬の医療費控除について、重要なポイントをまとめます:
医療費控除の対象になる条件
– 医師による診察と処方
– 医学的必要性の判断
– 適切な領収書の保管
節税効果
– 年間医療費が10万円を超える場合に控除対象
– 所得税率に応じて実際の節税効果を算出
– 家族分も合算可能
申告時の注意点
– 医療費控除とセルフメディケーション税制の選択
– 必要書類の準備
– 適切な記録の保管
最も重要なのは、インフルエンザ予防薬は医師の診察に基づく正当な医療行為として、医療費控除の対象になるということです。予防接種とは異なり、処方薬は治療の一環として扱われるため、確定申告で適切に申告すれば節税効果を得ることができます。
大切な時期にインフルエンザにかかるリスクを避けるために、早めの予防投与を検討し、その費用も賢く医療費控除として活用していきましょう。オンライン診療なら24時間診察可能で、最短翌日には自宅に薬が届くサービスも充実しています。絶対に休めない大切な時期だからこそ、インフルエンザ予防薬という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

