受験や大切な仕事を控えているときに、「この時期だけは絶対にインフルエンザにかかりたくない」と切実に思っていませんか?そんな中で、漢方薬による予防について気になっている方も多いでしょう。実際に、インフルエンザの予防に有効な漢方薬があり、研究でも効果が確認されています。
この記事では、インフルエンザ予防における漢方薬の効果について詳しく解説します。最終的には、確実な予防を求める場合、インフルエンザ予防薬を処方してもらうのが最も効果的ですが、漢方薬も選択肢の一つとして知っておく価値があります。
結論:インフルエンザ予防に効果のある漢方薬はある
漢方薬は免疫力を高め、ウイルスの増殖を抑えることで悪寒や発熱、頭痛などのつらい症状を緩和する効果を期待できます。インフルエンザの予防に関しては、主に以下の漢方薬が効果的です:
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) – 予防効果が最も期待できる
- 麻黄湯(まおうとう) – 治療だけでなく初期段階での予防にも
- 葛根湯(かっこんとう) – 初期症状への対応
特に注目すべきは、体が弱っている時に体力を回復させる効能をもつ「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」の服用がインフルエンザ予防効果を期待できると報告されています。
なぜ漢方薬がインフルエンザ予防に効果的なのか
免疫システムの強化メカニズム
補中益気湯は、ナチュラルキラー細胞やマクロファージを活性化することで免疫を調節・活性化していると考えられています。
ウイルスに初感染した場合、すぐにはT細胞やB細胞は働きません。最初に繰り出されるのはインターフェロンを中心とした自然免疫です。補中益気湯は、補中益気湯投与マウスで2日目にINFが速やかに増加することで、ウイルスを早期に排除する効果があります。
西洋薬と漢方薬の違い
| 項目 | 西洋薬(タミフル等) | 漢方薬 |
|---|---|---|
| 作用機序 | ウイルス増殖を直接阻害 | 免疫機能の活性化 |
| 服用タイミング | 発症48時間以内 | 症状出現前から可能 |
| 副作用 | 特定の副作用あり | 比較的マイルド |
| 適用年齢 | 制限あり | 子供から高齢者まで |
具体的な漢方薬とその効果
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
最も予防効果が期待できる漢方薬です。補中益気湯はインフルエンザにかかってから服用したのでは効果が乏しいため、ふだんから風邪をひきやすい人などに対して予防のために用いられます。
小林製薬と北里大学の共同研究では、「補中益気湯」には飛沫感染試験における予防的な感染防御作用が認められ、漢方薬がウイルス感染症対策の一助になる可能性が示されました。
適用者:
- 体力が虚弱~中等度の方
- 慢性的な疲労を感じている方
- 胃腸が弱い方
- 高齢者や病後の方
麻黄湯(まおうとう)
小児科のクリニックにおける臨床試験で、インフルエンザA型、B型を発症した小児に対して、タミフルと麻黄湯を投与したグループに分け、インフルエンザウイルスが消失するまでの時間を比較した結果、ほとんど差がなく同等の効果があることがわかりました。
適用者:
- 比較的体力のある方
- 悪寒があり汗が出ていない方
- 関節痛や頭痛がある方
注意点:胃腸が弱い方や心臓疾患のある方は要注意
葛根湯(かっこんとう)
葛根湯(カッコントウ)です。これは風邪の引き始め、熱が出る前によく効きます。寒気があり熱が出そうなころが一番有効で、インフルエンザだとしても、予防接種している方はかからずに済むかどうかの分かれ目の時期です。
最近の研究では葛根湯の抗ウイルス作用が解明されてきています。つまり、インフルエンザ感染による発熱は、インターフェロンやインターロイキン‐1α(IL-1α)が産生され、これが視床下部に働き、同部でのシクロオキシゲネースが活性化することでプロスタグランジンE2が産生され発熱しますが、葛根湯はこのIL-1αの産生を抑制することで解熱作用をあらわします。
実際の使用例と体験談
医療現場での活用例
私はこれを飲んでおります!決して毎日ではありませんが、風邪ではないけど少し今日は疲れているな、とか気持ちが乗らないというような時は早めに飲むようにしておます。これは新型コロナウイルスが流行する前からしていることです。風邪ではないけど、少し疲れているという時は免疫力も落ちていますので感染症にかかりやすいと考えられます
老人ホームでの予防効果
新型インフルエンザ大流行の時に老人ホームで補中益気湯を内服した群と内服しなかった群とでインフルエンザの発症数を比較したところ、内服していた人たちの群に感染者数が明らかに少なかった
引用:オペラシティクリニック
肺疾患患者での効果
肺疾患を持っている方に補中益気湯を飲んでいただくと、飲んでいなかった方々に比べて風邪をひきにくかった
引用:オペラシティクリニック
研修医の愛用例
研修医に「エナジードリンクも良いけど、どうせ飲むならこれが良いよ」とそっと処方する漢方薬が、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です
漢方薬の正しい服用方法
効果的な服用のポイント
漢方薬は体を温めて、発汗させることで治癒を促す。たとえ、適切な漢方薬を投与しても服用方法や養生を間違えると十分に効果を発揮できないため、効果的な服用方法と正しい養生を手間をしまずに指導する必要がある。
- 服用方法:必ずお湯で溶いて温服する
- 服用タイミング:食前または空腹時
- 生活習慣:十分な睡眠と栄養補給
- 体を温める:暖かく過ごして安静を保つ
症状に応じた使い分け
| 症状・体質 | 推奨漢方薬 | 特徴 |
|---|---|---|
| 予防目的 | 補中益気湯 | 免疫力向上、長期服用可 |
| 初期症状 | 麻黄湯、葛根湯 | 発汗作用、短期集中 |
| 鼻水・くしゃみ | 小青竜湯 | 鼻症状に特化 |
| のどの痛み | 桔梗湯 | 咽頭炎症状に効果 |
漢方薬の限界と注意点
効果に個人差がある理由
漢方薬を処方されて飲み続けているにも関わらず、あまり効果を実感できない場合は体質や症状に適していない可能性もあります。漢方薬は「証」という個人の体質に合わせた処方が重要です。
体質に合わない場合の症状:
- 服用後も症状が改善しない
- 胃腸症状が現れる
- だるさが増す
- 食欲が低下する
副作用と相互作用
麻黄を含む漢方薬(麻黄湯など)の注意点:
- 心臓疾患のある方は要注意
- 高血圧症の方は血圧上昇の可能性
- 不眠や動悸を起こすことがある
- 胃腸の弱い方は消化器症状が出やすい
西洋医学との組み合わせ効果
これからの医療は、東西医学の優劣を決めるのではなく両者の併用が必要と考えられます。インフルエンザ感染症においては抗ウイルス薬でウイルスの増殖を阻止し、体内に残存しているウイルスに対する生体防御反応(サイトカインストーム)には漢方薬を併用することになります。
併用のメリット
- 相乗効果:西洋薬の直接的な抗ウイルス効果と漢方薬の免疫強化効果
- 副作用軽減:漢方薬により西洋薬の副作用を軽減
- 回復促進:症状の早期改善と体力回復
- 予防効果の向上:ワクチンと漢方薬の併用による予防効果アップ
実際の処方・入手方法
医療機関での処方
補中益気湯は医療用医薬品としての承認を受けており、医療保険の対象となっています。保険適用で処方してもらえるため、まずは医師に相談することをお勧めします。
市販薬としての購入
補中益気湯は一般用医薬品としても多く販売されています。ほとんどが「補中益気湯」という名前を冠しているのでわかりやすいと思いますが、必ず薬剤師に相談して選択しましょう。
費用の目安
| 処方方法 | 費用(1ヶ月分) | 特徴 |
|---|---|---|
| 医療機関処方(保険適用) | 1,500~3,000円 | 個人の体質に合わせた処方 |
| 市販薬 | 3,000~8,000円 | 手軽に購入可能 |
| 漢方専門薬局 | 5,000~15,000円 | オーダーメイド処方 |
より確実な予防を求めるなら:インフルエンザ予防薬という選択肢
漢方薬による予防も効果的ですが、受験や重要な仕事を控えている場合、より確実な予防を求めるのであれば、インフルエンザ予防薬の処方を受けることをお勧めします。
インフルエンザ予防薬の特徴
- 予防効果:約80%の感染率低下
- 即効性:服用直後から効果開始
- 確実性:科学的エビデンスが豊富
- 利便性:オンライン診療で処方可能
オンライン診療でのインフルエンザ予防薬
現在では、オンライン診療でインフルエンザ予防薬を処方してもらうことが可能です:
- 診察料:0円(初診・再診とも無料)
- 薬代:7,800円~9,900円
- 配送:最短翌日お届け
- 処方薬:オセルタミビル(タミフルジェネリック)、イナビル
特に、大切な試験や仕事を控えている方は、漢方薬での体質改善と並行して、インフルエンザ予防薬の処方も検討することで、より万全な対策を講じることができます。
まとめ:漢方薬を活用したインフルエンザ予防戦略
インフルエンザの予防に漢方薬は確実に効果があります。特に補中益気湯は予防効果が科学的に証明されており、体質改善と免疫力向上の両面から感染症対策に有効です。
漢方薬での予防が適している方:
- 慢性的に疲労を感じている
- 風邪をひきやすい体質
- 胃腸が弱い
- 副作用を避けたい
- 長期的な体質改善を望む
ただし、受験や重要な仕事など絶対に感染できない状況では、漢方薬による体質改善と並行して、インフルエンザ予防薬の処方も検討することを強くお勧めします。漢方薬で基礎的な免疫力を高めつつ、予防薬で確実な予防効果を得る併用アプローチが、最も安心できる対策といえるでしょう。

